クェゼリン環礁について

 マーシャル諸島の環礁群を「帯をそっと輪にして置いたような」と例えた人がいる。
広大な太平洋上に点在する無数の帯の輪の一つがクェゼリン島を含むクェゼリン環礁で、その静かな美しさは限りないロマンを誘う。60数年前、ここが地獄と化し、熾烈な戦闘の果て、多くの日米兵士の命を奪った場所とは信じがたい。

 クェゼリン環礁は世界最大級の環礁で、ハワイ、ホノルルの南西3,900キロの北緯8度43分、東経167度44分に位置する。97の小島の面積合計は6,33平方キロメートルの礁湖からなる。環礁南端に最大の島クェゼリン島、北端に2番目に大きいルオット島がある。これらの島はアメリカが租借しており、アメリカの政府職員とその家族が住んでいる。クェゼリン島の人口は約2,500人である。

 クェゼリンを始めマーシャル諸島での日本軍の戦没者は合計1万9千232人。そしてタラワ環礁、マキン島等旧南洋群島各地での戦没者を合計すると3万5千人余にのぼる。これら戦没者の遺族たちは、遺骨収集と現地慰霊を目的にクェゼリン島戦没者遺族会(後にマーシャル方面遺族会)を1963年(昭和38年)に結成し、会は念願だったクェゼリン島への慰霊碑建立を申し入れたところ1967年(昭和42年)3月、司令官から慰霊碑の建立許可が下りる。1968年12月、入域が厳しく規制されている米軍ミサイル基地のクェゼリン島に慰霊碑(主碑)を建立。この建立作業は現地で働く日系人を始め、多くの人がボランティアで行った。以後、遺族会は定期的に現地を訪問して慰霊を続けている。

注:環礁とは珊瑚礁の島がドーナツ状に連なり、内側は水深30乃至100メートルの礁湖となっている。火山島が沈降して火口を取り巻く形で珊瑚礁が発達して島になったとするダーウィンの環礁生成の仮説は、1960年エニウェトク環礁を千3百メートルのボーリングによって立証された。

クェゼリン本島

クェゼリン本島と上はエニーブージ島

クェゼリン環礁の地図

クェゼリン環礁の地図